近年、アニメ・ドラマ業界の中で急速に注目を集めているのが、
韓国発のウェブトゥーン(Webtoon)原作作品です。

私は漫画はデジタル派なのですが、最近「縦読み」作品増えたって思いませんか?
最近「縦読み」形式の作品が増えた背景の一つに、韓国のウェブトゥーンが持っていたフォーマット的な強みがあります。そしてその“絵の完成度”が、アニメやドラマといった映像化される際にもクオリティの高さとして受け継がれており、視聴者にとって「映像でも納得」の仕上がりになりやすいわけです。
今回は、アニメ化された人気作やドラマとして話題になった作品をご紹介しつつ、なぜここまで韓国発のウェブトゥーン(Webtoon)が支持されるのかを、少し深掘りしてみたいと思います。
ウェブトゥーンとは?
ウェブトゥーンは2000年代初頭に韓国で生まれた、スマートフォン特化型の漫画形式です。
日本の雑誌連載型マンガと異なり、オンライン配信を前提に制作され、LINEマンガ・ピッコマ・NAVER Webtoonといったプラットフォームで世界中の読者が閲覧できます。
特徴は、縦スクロール形式+フルカラー+デジタル効果。
映画的な構図やライティングを意識して描かれるため、“アニメやドラマへの映像化”に非常に適していると言われています。



私はLINEマンガでどハマりしました
また、日本の漫画制作スタイルと韓国の漫画の制作スタイルは違うの知っていますか?
韓国のWebtoon制作スタイル(概略)
- 作家(脚本・プロット) → 縦型読みに適したネーム構成
- キャラクターデザイナー/人物線画/人物着彩/背景/仕上げ と、分業体制がしっかりしているケースが多い。
日本の漫画制作スタイル(従来型)
- 作者がストーリー・ネーム・キャラクターデザイン・人物線画を担当し、背景・着彩などをアシスタントと分担
- 出版雑誌や単行本重視、モノクロ+ページめくり型が基本
この違いから「構図・演出・配色・更新スピード」において、Webtoonは“映像化”あるいは“海外展開”を見据えたスタイルに近く、アニメ化・ドラマ化へスムーズに移行できる土台があると言えます。



人気の脚本家、人気のキャラクターデザイナーの作品が次々と量産されているのが、人気の秘訣かもしれません。
また日本で販売する際に、地域名や登場人物の名前を日本人に馴染みのある名前に変更され、販売される作品も多く見られます(ただし原典を忠実に守る動きも増えています)
Webtoonからアニメ化された作品
そんな中で日本でも、人気のWebtoon作品が次々とアニメ化されています。以下、代表作をピックアップ。
『外科医エリーゼ』──異世界転生×医療の融合
女性読者を中心に人気を集めた『外科医エリーゼ』
現代の天才外科医が前世の世界に転生し、かつて「悪女」と呼ばれた自分の運命を変えようと奮闘する物語。
医療ドラマ的な緊張感と転生ロマンスの融合が新鮮で、アニメ化ではWebtoonの色彩や光の演出がそのまま活かされています。縦スクロール構成を“動きのあるカメラワーク”として再現したアニメーションは、原作ファンからも高評価を得ました。
『俺だけレベルアップな件』──世界を席巻したダークファンタジー
“レベルアップ系”というジャンルを確立した代表作『俺だけレベルアップな件(Solo Leveling)』。
主人公・ソン・ジンウが、最弱のハンターから最強へと成長していく姿を描いたダークファンタジーです。
アニメ化にあたり、原作で印象的だった縦の迫力ある構図や光の演出を忠実に再現。
ゲーム的なテンポとスタイリッシュな作画が融合し、「アニメの完成度が原作を超えた」と言われるほど高い評価を得ました。海外配信も同時展開され、韓国発アニメとしては異例の世界的ヒットとなりました。
『彼女が公爵邸に行った理由』──光と色彩で描く転生ロマンス
転生×恋愛の定番となった『彼女が公爵邸に行った理由』。
現代の女子大学生が乙女ゲームの悪役令嬢に転生し、悲劇の結末を回避するために運命を変えようとする物語
Webtoon特有の柔らかな光の表現や繊細な色彩がアニメでも活かされ、「まるで一枚の絵画が動いているよう」と評されました。日本の少女漫画ファンにも違和感なく受け入れられたことが、Webtoon作品が国境を越えて愛される理由のひとつです。
アニメだけじゃない!実写ドラマ化作品も続々ヒット
韓国Webtoonの人気はアニメにとどまりません。実写ドラマ化作品も次々と世界的ヒットを記録しています。
『私の夫と結婚して』
同名のWebtoonを原作とした復讐ドラマ。
「夫と親友に裏切られた女性が、過去に戻って人生をやり直す」という衝撃的な設定が話題となり、配信開始直後から世界ランキング上位を記録しました。
女性視聴者を中心に“Webtoon原作ドラマブーム”の火付け役となりました。
2025年には日本版『私の夫と結婚して』が話題となりました。
『梨泰院クラス』
こちらも NAVER Webtoon原作で、韓国ドラマ史に残る大ヒット作。
「社会の不条理に立ち向かう若者たち」を描いた物語は、原作のストーリー性と映像演出が高いレベルで融合し、日本でも大きな反響を呼びました。日本ドラマのリメイクもされるほど、人気の作品です。
こうした成功例が続いたことで、韓国では「Webtoonは最初から映像化を前提に作られる」時代に突入しているとも言われています。



両方とも人気作品で、日本ドラマとしてリメイクされてるところに、原作だけでなくドラマまで人気があるのがよくわかります。
なぜWebtoon原作作品はここまで人気なのか?
ここからは、私・けけの視点で「なぜ韓国Webtoon原作作品がここまで支持されているのか」という問いに対して、日本の漫画文化との表現手法の違いと、韓国のデジタルコンテンツ市場構造という二つの角度から整理してみます。
① 日本の漫画文化との表現手法の違い
- フォーマットとメディア最適化:日本の漫画(紙雑誌・単行本)では、ページめくり形式・モノクロが基本というスタイルが長く続いてきました。一方、Webtoonはスマートフォン・タブレットでの閲覧を前提とし、縦スクロール・フルカラー・デジタル演出(効果線・アニメーション的挿入など)を取り入れています。これが、映像化(アニメ・ドラマ)において画面構成や演出設計の段階で大きなアドバンテージを持ちます。
- 構図・演出(カメラワーク)の意識:Webtoonでは縦スクロールを活かして「視線移動」「読み落とし防止」「展開のメリハリ」を意識したネームになることが多く、実際のアニメ化時にも「カメラが縦に動く」ような演出や“ページをめくる”感覚ではなく“流れるように読む”感覚がそのまま再現されることも。日本の漫画では、「コマ割り」「見開き」など紙媒体的な設計が根強く、縦スクロール特有の演出が少ない傾向があります。
- 色彩・背景・演出のレベル:Webtoonは最初からフルカラーでの配信を前提としており、背景・光・質感・CG的な演出も導入されやすい。これにより、「映像化したときに“色が抜け落ちた”感じがしない」、あるいは「原作のタッチを忠実に映像に再現しやすい」という利点があります。日本の漫画出身のアニメ化作品でも、モノクロ原作からカラー化することでデザイン変化が出ることがありますが、Webtoon原作の場合そのギャップが少ないです。
- 読者との更新・レスポンス構造:Webtoonでは更新頻度が高く、読者の反応をリアルタイムに反映するシステムを備えているものも多いです。 こうした“読者参加型/継続型消費”の構造は、アニメ・ドラマなどの連続性が求められるメディアとの相性も良いと考えられます。
つまり、日本の漫画文化との違いを整理すれば、「モバイル最適」「縦構図」「フルカラー」「スピード更新/読者反応」という特徴が、アニメ化・グローバル展開という観点で“有利”に働いていると言えるでしょう。
② 韓国のデジタルコンテンツ市場構造から見た成功要因
- 市場の急成長とIP化の成熟度:韓国のWebtoon市場は急速に拡大しています。たとえば、韓国国内のWebtoon関連売上高は2021年に約1.57兆ウォン(約12.3億米ドル)と報じられており、前年からの増加率は約48.6%。
また、グローバル市場も将来的に大きく伸びるとの予測があります。これにより、Webtoon作品=「映像・ゲーム・グッズ化できるIP(知的財産)」としての価値が高まり、アニメ・ドラマ化のサイクルが回りやすくなっています。 - プラットフォームとデジタル配信のインフラ:韓国には、NAVER Webtoon、KakaoPage といった強力なプラットフォームがあり、スマホ/タブレットによる閲覧が当たり前の環境が整っています。
これにより「紙媒体→電子」「国内→海外配信」への移行がスムーズで、かつ読者データ・閲覧データを活用した作品育成が可能です。 - 更新スピードと読者ロイヤルティ:Webtoonでは週に1回以上更新される作品も珍しくなく、読者の“次話を待つ”習慣が形成されています。
この更新スピードと継続性が、アニメやドラマでいう“シリーズ化”“シーズン化”との相性を良くしています。 - グローバル展開の意識:韓国のWebtoonプラットフォームは初めから海外展開を視野に入れており、英語・日本語・中国語への翻訳・配信も進んでいます。
このため、原作段階から「国内限定」ではなく「世界向け」市場を見据えており、アニメ・ドラマ化後の海外配信/翻訳対応もスムーズです。 - 映像化への近接性/IP活用力:Webtoon作品が“映像化前提”あるいは“映像化されやすい構造”で設計されているケースもあり、アニメ・ドラマ化において原作とのズレが少ないです。
また、WebtoonプラットフォームがIP展開(映像・ゲーム・グッズ・他メディア)を視野に入れていることで、制作者・出版社・映像制作側の三者連携が起きやすい土壌があります。 - 多ジャンル・読者層の広さ:Webtoonは恋愛、SF、ファンタジー、スリラーといった多様なジャンルをカバーしており、特に若年層・スマホ世代にリーチしやすいという特徴があります。
これが「映像化しても多くの視聴者に刺さる」という強みになります。
以上を整理すると、韓国のWebtoon原作作品がアニメ・ドラマでヒットしやすい背景には、表現手法と市場構造の両面から「映像化しやすく」「グローバルに展開しやすい」という二重のアドバンテージがあると言えます。
まとめ:Webtoonは“新しい物語文化”として進化中
韓国のWebtoon原作のアニメやドラマは、今やK-POPと並ぶ韓国コンテンツの代表的存在になりました。
『外科医エリーゼ』『俺だけレベルアップな件』『彼女が公爵邸に行った理由』といったアニメ作品に続き、『私の夫と結婚して』『梨泰院クラス』などドラマ化でも成功を収めることで、
Webtoonは「物語の宝庫」として世界から注目を集めています。
表現手法の面では、日本の漫画文化と異なる縦スクロール・フルカラー・デジタル最適フォーマットを武器に、映像化へのハードルを下げています。
市場構造の面では、スマホ配信インフラ・更新スピード・グローバル展開・IP戦略が一体となって、Webtoon作品を“映像化可能で国際流通可能”な資産にしています。
これからも韓国Webtoon発の “次なる物語” が、アニメ・ドラマを通して私たちに“新たな感動”を届けてくれるでしょう。



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