アニメが大好きだからこそ感じる“作画崩壊”の残念さ|増え続ける作品数とアニメーター不足の現実

大好きなアニメだからこそ、アニメ業界全体が潤ってほしいですね!そんな思いを込めた記事です。

目次

増え続ける作品数に追いついてるのかと感じる不安

日本のアニメは、今や世界から愛さて、アニメが日本だけのものではなく、当たり前のように海外で放映をされいます。(ジダンが「キャプテン翼」を見てたと知った時はびっくりました)

しかも今は配信が当たり前の時代。全世界同時で国内アニメも世界で見られるようになり、日本国内でも毎クール数多くの新作が放送されています。
声優も人気だけでなく演技は年々レベルが高くなり、脚本・音楽・キャラクターの魅力も向上。
サブスクの普及で、作品が世界同時配信されるようになった現在、
「アニメは日本文化の代表的なコンテンツ」といっても過言ではありません。

しかし一方で、ここ数年SNSでも頻繁に話題になるのが “作画崩壊” というワードです。
内容が面白いのに作画が不安定で集中できない、
キャラの顔が違って見える、動きがぎこちない──
そんな残念な瞬間に出会ってしまうことがあります。

アニメが大好きだからこそ、
「作品は悪くないし、声優さんの演技も素晴らしいのに勿体ない…!」
と感じてしまう視聴者は多いのではないでしょうか。

この記事では、アニメファンとしての素直な気持ちとともに、
なぜ作画崩壊が増えているのか、どんな背景があるのか、そして改善のヒントについて、
やさしく・丁寧に紐解いていきます。

なぜ「作画崩壊」は増えているのか?

作画崩壊の背景には、主に3つの要因があ流のかと考えられます。

① アニメ制作本数が増えすぎている

これは一番大きな原因の1つでもあります。毎クール放送されるアニメ作品数は、ここ10年で圧倒的に増加しました。正直1話は必ずチェックしてるのですが、追いかけるのが難しいほど

  • 2010年頃:約100本
  • 2020年代:年間200〜300本以上

視聴者としては選択肢が増えて嬉しい反面、制作現場は常にフル稼働。
アニメスタジオは「数をこなす」状態になり、
1本の制作スケジュールが極端にタイトになるケースが増えています。

つまり
“量が質を上回ってしまっている” のです。

人々の趣味趣向が多様化しているので、いろんな人気のジャンルがあり、アニメも多様化してるように感じます。それでもあの漫画の名作がまだアニメ化されていないっていうものも多いです。

面白い脚本・優秀な声優・豪華な音楽──
すべてが揃っていても、制作にかけられる時間が不足すれば、
作画が追いつかないのは無理もありません。

② アニメーター不足と待遇の問題

アニメ業界でも長年指摘されてきたのが「アニメーターの処遇と収入の低さ」です。

  • 若手アニメーターの年収:200〜300万台のケースも
  • カット単価が低い
  • 長時間労働になりやすい
  • 生活できずに業界を離れる人も多い

この状況で
「若手が育つ前に辞めてしまう」「長く働ける環境にない」
という悪循環が生まれています。

さらに、ベテランアニメーターの数も減少しており、
リソース不足が全体のクオリティに直結してしまうのです。

③ 海外外注の増加と伝達の難しさ

エンドロールを見ると、
・韓国
・中国
・東南アジア
などの外注会社の名前が多く並ぶことがあります。

国際協力自体は良いことですし、そこに批判はありません。韓国はアニメ技術が日本と遜色ないレベルの制作会社もあります。

しかし、作画崩壊の作品の多くは海外への外注も多く、コミュニケーション不足を感じざるを得ません。現在は スケジュールが逼迫しすぎているため、質の管理が難しくなっている のが実情です。

  • 作監チェックに間に合わない
  • 指示が正しく伝わらない
  • 統一感が崩れる
  • 本来の演出意図が反映されない

その結果、
「ストーリーが良いのに作画が残念」
という状況が生まれやすくなっています。

声優・脚本が素晴らしい作品ほど、“作画の粗さ”が気になってしまう理由

アニメは「総合芸術」です。

  • キャラデザイン
  • 背景美術
  • 作画
  • 動き
  • 声優の演技
  • 音楽
  • 演出
    これら全てが揃って名作が生まれます。

だからこそ、声優や脚本がどれだけ優れていても、
作画の破綻があると没入感が途切れてしまう のが事実。

たとえるなら、
美味しい料理を食べようとした瞬間、
器が欠けていたり、盛り付けが崩れていたりするような感覚です。

内容は良いのに、本当にもったいない…。

アニメファンだからこそ、その悔しさを深く感じてしまいます。

では、なぜ改善されないのか?考えられる考察

● 制作費が十分に回らない

近年、アニメは商品・企業タイアップやBlu-rayだけでは回収できなくなり、
製作委員会方式で複数企業と利益を分配しています。

しかし
制作会社に利益が回りにくい構造
が長らく続いており、
予算の多くが宣伝や版権に使われ、現場に降りてきません。

人気作品ならタイアップやグッズなど広がりますが、単発作品だと

● スケジュールが限界

深夜枠アニメが増え、
「短期間で大量に作る」
という文化が出来上がってしまったため、改善しにくいのです。

作り手の多くは真剣だからこそ、その頑張りが反映されてほしいと切に願うばかりです。

アニメ市場を持続させるために必要なこと

アニメファンとして、そして制作者を尊重する立場として、
これから必要になるのは下記のような取り組みだと感じます。

①制作会社への正当な利益配分
 作品がヒットした場合、もっと現場に利益が還元される仕組みが必要です。

②スケジュールの見直し
「制作期間の短さ」がクオリティに直結するため、
作品本数を調整し、無理のない体制を作ることが重要です。

③アニメーターの待遇改善
正当に収入が得られれば、若手が抜けず、優秀な人材が育ちます。

④海外との協働は“質の管理”を前提に
国際化が進む今こそ、外注の使い方を再設計する必要があります。

アニメが世界に誇れる文化であり続けるために

アニメを愛する立場として思うのは、
作画崩壊を笑いものにするのではなく、産業全体の改善につなげたい
ということです。

アニメは、声優、アニメーター、監督、脚本家、背景美術、音楽──
すべての職人たちの情熱で成立しています。

面白いストーリー、キャラクター、声優の熱演があるのに、
作画が追いつかないだけで作品が誤解されるのは、本当に勿体ない。

日本のアニメは世界から愛されているからこそ、
その価値が持続可能なものになってほしい。
お金も、時間も、人も、しっかり循環する産業であってほしい。

そんな願いを込めて、これからもアニメを応援し続けたいと思います。

参考資料・リサーチ元

  • 経済産業省「アニメ産業の現状と課題」(アニメーター待遇等)
  • 一般社団法人 日本アニメーター・演出協会(JAniCA)「アニメーション制作者実態調査」
  • ダイヤモンド・オンライン「アニメ業界が抱える構造的問題」
  • AnimeAnime.jp(アニメ!アニメ!)業界関連記事
  • Crunchyroll / Netflix等 プレスリリース(作品配信動向)

■アニメに救われてきたからこそ、守りたい世界

私自身、子育てや仕事でしんどい時期ほどアニメに助けられてきました。気づけば深夜にこっそり1話だけ見て、涙がスッと出て心が軽くなったこともあります。アニメって、作品の向こう側にいるたくさんの人の努力が届くからこそ、心に刺さるんですよね。

だからこそ、作画崩壊のニュースを見ると「誰のせいでもないのに、作品が誤解されてしまうのが悔しい…」と感じます。アニメーターさんのSNSの声を読むたび、生活の厳しさやスケジュール地獄の話は他人事とは思えません。

それでも、毎クールの新作を観るたびに「まだこんなに新しい表現が生まれるのか」とワクワクしますし、アニメって本当に“文化”なんだと実感します。だから私は、どの作品でもまず良いところを探したくなるし、作画が不安定な回があっても、画面の向こうでも誰かが必死に走っているんだろうな、とつい想像してしまいます。

日本のアニメがこれからも長く愛されるために、現場が報われる仕組みになってほしい──そんな願いを込めて、このジャンルの記事を書き続けています。

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この記事を書いた人

当サイト管理人兼ライター
本職はWEBクリエイター。
ドラマ・アニメ・漫画を中心に20年以上のエンタメウォッチャー。
日本ドラマに関しては年間400本をチェック、アニメは全期1話を全ジャンルチェック、漫画に関しては年間300冊以上をチェック。
独自の分析だけでなく、物語などのストーリー背景やキャラクター心理を深掘りする考察を得意としています。

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